若い世代が台頭して世の中を変える
南 2021年10月31日の衆議院選挙の投票率について質問させてください。特定の政党の話ではありません。投票率そのものが低かったんですよね、「54%」と低迷しました。僕はびっくりしちゃったんです。新型コロナがあったので、世間の皆様も政治に興味を持ってくれたんじゃないかなと、ずっと思ってたんですよ。でも蓋を開けてみると、全然投票率が伸びなかった。それで絶望しちゃったんですね。「セカニチがこれ以上何を努力しても、この国は何も変わらないのか」と思って、力が入らなくなっちゃった時期があった。そんな現状を変えたいんです。だから今年の夏、7月の参議院選挙の投票率を上げるには、どうしたらいいと思いますか? 僕も頭を悩ませているんですけど。何かお考えがあれば、ぜひおうかがいしたいです。
藤野 岸田内閣は、どちらかというと保守的で前時代的な状況がある訳です。
南 ミスをしない、何もしない。
藤野 そうそう。要するに、何もしないということが一番リスクも少ない。
南 思います。2021年10月の衆院選以降に1度も党首討論会を開いていません。まん延防止等重点措置が終わっても会見の記者の参加人数を制限したままです。会見で都合の悪いことを指摘されたくない。「国民の声を聞く」と言っていたのに、討論もしないし会見もオープンにしない。何もしないまま参議院選挙に突入。
藤野 でも昭和は終わるんです。時間が終わらせる。後期高齢者の人たちが、あと5年とか10年経ってくると、さまざまな形でフィジカルにおいても、メンタルにおいてもリタイアをしていくと、どうしてもそれを埋める人たちが出てこざるを得ない。それを埋める人たちとして、SDGsをずっと学んできた若い世代がいる。社会参加っていうことに対してモチベーションを持っている人たちが現れてくる。シニア層の退出と、意識のある若い層の誕生をマクロ的にいうと、ここのところのパワーが上がるに決まっているということなんで。5年ぐらいしたら、何もかも変わる。企業も変わる、政治も変わる。そうすると、僕らの戦略は、上の人たちはもういいと、もう好きにしてくれと。もう最後だから。
南 70代以上ですかね。
藤野 70代以上というか、自分の世代以上かもしれない、ひょっとしたら。それよりも、30代から下の人に、自分のエネルギー、自分の持っているパワー、自分の持っている財産とかを、全部そっちにシフトしていくというのが、たぶんそれが正しい。戦略としておもしろいと思っています。
南 なるほど。政治に絡めてもう1点うかがわせてください。アクティビズム(積極行動主義)という考えについて。僕がすごく、藤野さんを尊敬してるところでもあります。「モノを申す」ことによって、すべてが健全化されていくというアクティビズム。この考え方がもっと広がるべきだなと思っています。藤野さんがよくおっしゃるように、買い物もアクティビズムだし、投票もそうだし、投資もそうだし。いま、東証の問題があるじゃないですか。東証再編のチャンスがあったにもかかわらず、東証が何も変わらなかった。これをどう変えていけばいいのか。僕は政治の投票率が上がって、社会に対する興味を持つ習慣が広まれば、政治も変わるし東証も変わると思っていて。投票率を上げるためにどうしたらいいかなとずっと考えています。どうしたら健全化されると思いますか。
藤野 まあ、変わると思っているね、変わると。
南 東証も5年、10年で変わりますかね?
藤野 東証そのものが変わるかどうかっていうと、わからないんだけれども。でも社会の若い世代から、大きな潮流とかうねりが出てくるということになるし。かつ、その若い人たちのほうが正論を吐く気がする。正論っていうのは、誰もかなわないところがあるので。結構若い人、無敵状態になっていくのかなと思うんです。結構感じがよかったり、頭がよかったりする人たちが指導者になってくるから。そうなってくると、ずいぶん雰囲気が変わるんだろうなと。それは会社のあり方も変わるし、企業のあり方も変わるし、投資のあり方も変わってくるというふうに思う。逆に僕は、超足元に関してはめちゃ暗い。
南 そうですね。残念ながら僕も直近の数年では変わらないだろうなと思います。
藤野 3ヵ月とか半年で見ると、たぶん古臭くて完璧な昭和を見せつけられる。
南 ということは、2022年7月の参議院選挙も……。
藤野 次の7月の参議院選挙ぐらいが、たぶん最後。
南 そこから、3年間国政選挙がありません。自民党にとっては「黄金の3年間」と呼ばれています。3年という長い時間が空くのはかなり珍しい。自民党にとってパラダイスということは、国民にとっては強烈にネガティブなことだと考えます。
藤野 国政選挙がないから、次の3年間は、自民党にとってはパラダイスかもしれない。パラダイスに見えるけど、たぶん最後のパラダイス。自民党に限らないんだけど、日本の政党政治の昭和の終わりっていうのが、この3年間の間に腐敗と慢心と共に消滅していくというふうに思うんです。というのは、新たな流れが水面下で起きそうだなと思うんですよね。今後3年ぐらいは変わらないと思うけれども。でも10年で見れば、過去の30年間とは比べ物にならないぐらい激変するということが、たぶん出てくると思うんですね。そうなってくると、そっちにかけたほうがおもしろい。
南 いやぁ、でも長いですよね、3年。正直、長すぎて我慢できません。
藤野 長いけど、南さんいまおいくつでしたっけ?
南 32歳です、いま。
藤野 僕は社会人になって30年間待っているから、あとたった3年だよ。
南 3年は我慢できると。
藤野 うん。そうすると、この3年っていう昭和の最後の輝きのところに、昭和の人間としてそこでおいしい思いをするのか。それとも、ポスト昭和っていうか、令和時代というか、新たな社会のために自分がどうその中で居場所をつくるのかっていうのが、すごく求められているんじゃないかな。
Koru-workers株式会社 代表取締役
1989年 東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社、約6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディングなどで資金を集めて高輪ゲートウェイ駅近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。生放送コミュニティ・オンライン学習サービスの「Schoo」では、国内最大級6200本の授業から「ベスト授業&ベスト先生」の2冠に輝く。本書が初の著書。各SNSで毎日情報発信。インスタグラムのフォロワーは2万人以上。『世界一面白くてお金になる経済講座』が初の著書。