梅雨が明ければ、すぐに夏がやってくる。夏は気温が高く汗をよくかくため、「痩せやすい」と思いがちだが、実は、夏こそ「太りやすい季節」でもある。運動不足や偏った食生活によって基礎代謝が低下しやすく、気をつけないとすぐに「夏太り」してしまうからだ。
そこで参考になるのが、「糖質制限のカリスマ医師」とも呼ばれる江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。
本書は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。
本稿では、夏に太りやすい理由と「食べトレ」の具体的な内容をご紹介する。(執筆・構成/根本隼)
夏は「あっという間に」太りやすくなる
不安定な天気が続く梅雨が終わると、本格的な夏がすぐに訪れる。気温が高く、汗をかきやすい夏は痩せやすい時季だと思われがちだが、実際にはむしろ「太りやすい」季節だということをご存じだろうか。
夏は体温と外気温の差があまりなく、体温維持のために脂肪を燃やして熱を作る必要性が低いため、自然に体が消費するカロリーである「基礎代謝」が下がる。
基礎代謝が低下すると、消費カロリーよりも摂取カロリーが多くなるので、日頃の運動を怠ったり、食生活が偏ったりすると、あっという間に太りやすくなってしまうからだ。
「夏太り」の原因とは?
また、自律神経の乱れも「夏太り」の主要因の1つだと言われている。
暑い屋外と涼しい屋内を行き来することで、体が急激な温度変化を繰り返し感じると、体温調節がスムーズにできなくなり、自律神経が乱れやすくなる。自律神経の機能不全も「基礎代謝」の低下につながるので、脂肪燃焼が滞ってしまうのだ。
さらに、夏は暑さを回避するために、外出や運動を控えることも多い。基礎代謝のうち約20%は筋肉が占めているため、運動不足などで筋肉量が減ると、その分基礎代謝も減少する。そうすると消費カロリーがますます減り、体脂肪がたまりやすい体になってしまう。
内臓脂肪型肥満は万病のもと
体脂肪には、蓄積する場所によって「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類に分かれる。
内臓脂肪…腸などの消化管を固定している膜にたまる
皮下脂肪…ウエストや太ももなど下半身を中心に皮膚のすぐ下にたまる
このうち、「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」は、巨大化した内臓脂肪から悪玉ホルモンが次々と分泌されるため、血糖値・血圧・中性脂肪値が上がり、糖尿病・心臓病・脂質代謝異常・脳卒中といった病気を発症する確率が高くなってしまう。
男性の肥満の9割は「内臓脂肪型肥満」
2019年版の厚労省「国民健康・栄養調査報告」によると、男性の肥満の9割は「内臓脂肪型肥満」だった。女性は、女性ホルモンの影響で、内臓脂肪より皮下脂肪がつきやすい傾向にあるが、更年期以降は女性ホルモンが減少するため内臓脂肪がたまりやすくなるため要注意だ。
一方で、適度な皮下脂肪は、エネルギーの備蓄や外部からの衝撃緩和などに必要不可欠な役割を果たす。また、皮下脂肪は、内臓脂肪の2分の1から3分の1程度しか、悪玉ホルモンを分泌しない。そのため、皮下脂肪よりも、内臓脂肪を優先して減らさなければならない。
「医学的に正しい」体重の落とし方
そこで、肥満を抑え、一生健康な体を維持するために参考になるのが、「糖質制限のカリスマ医師」とも呼ばれる江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。
本書は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。
本書によると、食べるとエネルギーになる3大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のうち、標準的な日本人はエネルギーの約60%を糖質から大量に摂取しているのが現状だ。内臓脂肪が増える原因は「糖質」の摂取にあるので、糖質を制限する一方で、たんぱく質や脂質を“しっかり摂る”のが基本だ、と江部氏は語る。
つまり、糖質が多いご飯、パン、イモ類、お菓子を避け、糖質がほぼ含まれていない肉類、魚介類、大豆食品、野菜、キノコ類、海藻類などをしっかり食べればよいということだ。
食事の時間を空けると脂肪が燃焼する
また、糖質制限と同時に行なうのが、朝食を抜きにする「1日2食」だ。まず、糖質制限をすることによって、空腹の原因となる“血糖値の乱高下”が生じないので、朝食抜きでも昼までお腹がすかなくなる。
そして、朝食を食べないと、前日の夕食から当日の昼食までの間に体脂肪がメラメラと燃焼し続けるため、大きな健康効果があるのだ。
次回以降の連載では、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』より内容の一部を抜粋し、糖質過多の危険性や「食べトレ」の注意点をより詳しく解説する。