梅雨が明ければ、すぐに夏がやってくる。夏は気温が高く汗をよくかくため、「痩せやすい」と思いがちだが、実は、夏こそ「太りやすい季節」でもある。運動不足や偏った食生活によって基礎代謝が低下しやすく、気をつけないとすぐに「夏太り」してしまうからだ。
そこで参考になるのが、「糖質制限のカリスマ医師」とも呼ばれる江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。
本書は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、糖質の過剰摂取によって生じる「本当に怖い症状」を解説する。(構成/根本隼)
血糖値を上げるのは「糖質」だけ
糖質過多による第1のダメージは、食後に血糖値が急激に上がる「食後高血糖」です。血糖は全身のエネルギー源になりますが、血糖値が高すぎるのは危険です。そして、その血糖値を上げるのは糖質だけです。たんぱく質や脂質は血糖値を上げません。
低カロリーでも糖質がたっぷりなら、血糖値は上がります。高カロリーでも糖質ゼロなら、血糖値は上がりません。
具体的に言うと、低カロリーでも糖質が多いそばを食べると血糖値は上がりますが、高カロリーでも糖質をほとんど含まないサーロインステーキなら血糖値は上がらないのです。
日本で糖尿病患者が増えている理由
世界的に権威のあるアメリカ糖尿病学会では、「摂取後、血糖に直接影響を与えるのは糖質のみであり、速やかに吸収されて120分以内にほぼ100%血糖に変わる。たんぱく質と脂質は、血糖に直接影響を与えることはない」と断言しています。
食後に上がった血糖値を下げるのは、すい臓から分泌されるインスリンです。血糖値を下げる働きがあるのは、人体で唯一インスリンだけです。
ところが、日本人のインスリン分泌能力は、遺伝的に欧米人の半分くらいとされています。これが日本人に糖尿病患者が増えている理由の1つです。
本当に怖い「食後高血糖」
食後高血糖が起こると、血糖値を下げるために分泌されたインスリンにより、余分な糖質(ブドウ糖)が内臓脂肪などの体脂肪としてたまります。
加えて体内では糖化が進みます。糖化とは、加熱されたブドウ糖が体を作っているたんぱく質などにくっついて、機能を妨げる現象です。
糖化によって、最終的にはAGEs(終末糖化産物)という超悪玉が生じます。AGEsがたまると、動脈硬化による心臓病や脳卒中、骨粗しょう症、白内障など、さまざまな疾患のリスクを高めてしまいます。そのため、少しでも早く糖質制限を始めることによって、病気の予防に取り組むことが重要なのです。
(本稿は、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』より一部を抜粋・編集したものです。)