ロシア産ガスの依存脱却に向けて中東や北アフリカからの代替調達を模索する欧州諸国が、ここにきて壁にぶつかっている。カタール、アルジェリア、リビアといった主要生産国との交渉が難航しているためだ。カタール産ガスの価格からリビアの情勢不安、北アフリカの係争地である西サハラを巡る問題まで、交渉の足かせとなっている問題はさまざまだ。欧州がロシアからのエネルギー輸入を完全に断つのは一筋縄ではいかないことが改めて浮き彫りとなっている。ロシアは欧州大陸へのガス供給の38%を占める。ハーバード大学中東研究センター、アデル・ハマイジア客員研究員は、欧州は「政策、政治、地政学が交錯する入り組んだ交差点に直面しており、さらに困難な事態に陥りかねない」と話す。