米エヌビディアはメタバース向けの半導体メーカーかもしれないが、それでも現実の世界から逃れられないことが時にはある。同社が発表した2-4月期(第1四半期、5月1日終了)決算は、少なくともビデオゲームとデータセンターの主力事業については市場予想を上回った。売上高は前年同期比46%増の約83億ドル(約1060億円)、調整後の営業利益は55%増とさらに大きく伸び、過去最高となる40億ドルに迫った。ところが、5-7月期の売上高見通しは市場予想を約4%下回った。ファクトセットによると、エヌビディアは過去9四半期に市場予想をいずれも平均10%上回る見通しを示しており、今回の下振れは異変とも言えそうだ。さえない売上高見通しの要因は、ロシア、および新型コロナウイルス感染拡大に伴いロックダウン(都市封鎖)が敷かれている中国での販売損失によって5億ドル相当の打撃を見込んでいることにある。中国はとりわけエヌビディアのゲーム向け半導体事業にとって重要な市場だ。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はインタビューで「複数の大都市で封鎖措置が敷かれると、誰も当社の製品を購入できない」と語っている。