英語を話す時、日本語で考えてから「英語で置き換えると…」と脳内変換していませんか。これは、「英語で話す力」を奪ってしまう悪癖です。しかし、ある「思考法」さえ守れば、英語はグンと上達します。土台になる「日本語で話す力」を磨くのも、実はびっくりするほど簡単です。どちらも、日本の子どもたちには特に有効です。今回は「“話す力”の伸ばし方」について、5000人以上のバイリンガルを育ててきた経験から、解説します。(TLC for Kids代表 船津 徹)
日本人が「英語は難しい!」と感じる要因の一つに、「日本語と英語の文法構造の違い」があります。
日本語は、言葉に助詞や接続語をつけて、永遠にセンテンスを伸ばしていくことができますが、英語は主語、動詞、補語・目的語というように、センテンスを文法ルールに則って完結させなければならず、日本語の特徴である主語を省略して責任の所在を不明瞭にしたり、言葉を重ねて論点をずらしたり、言葉尻を変えて結論を転換するということができない言語構造です(日本語の特徴がわかりやすいように、わざと長めのセンテンスにしてみました)。
あいまい思考から直接思考に切り替えよう
英語は第二言語として話す人の割合が世界一多い言語です。言葉や文化を共有していない人同士が意思疎通するためのツールですから、ミスコミュニケーションを減らすために、「誰が・どうする」「誰が・どんなだ」「誰が・何だ」というように主語と述語を明確にして、メッセージを簡潔に伝えることが世界共通のルールです。
一方で「Noと言えない日本人」に代表されるように、日本語は「和」の文化を共有する日本人同士が意思伝達するための道具です。相手を傷つけたり、人間関係を壊さないことに重点が置かれていますから、ストレートな言い方を避け、間接的であいまいな表現を用いるのが暗黙のルールです。
日本人が英語を話す時、まず日本語で考え、日本語を英語に置き換えようとします。しかし、日本語を話す時と同じ「あいまい思考」のまま英語に接していても、相手に正しく理解してもらえないことが多いのです。英語でコミュニケーションを取る時は、思考を「直接思考」に切り替えることが必要です。
「思考の切り替えなんて、急には無理!」と思いましたか? 実は、びっくりするほど簡単です。