あらゆる職種の中でも人気が低く、労働生産性が低いのが「営業」でした。しかし、そんな時代は終わりを迎えようとしています。成長著しい最先端企業は、「できる営業」に多額の報酬を払い、企業の成長エンジンに「営業」を据えています。では、どのように「できる営業」へと生まれ変わればいいのでしょうか?『NEW SALES』では、これまでの古い営業から脱却し、新しい営業「NEW SALES」に進化する方法を紹介しています。本連載では『NEW SALES』のエッセンスを紹介。「NEW SALES」を実践すればあっという間に「売れる営業」に生まれ変わります。
「ストーリー営業」の実践に役立つ
テレビCMの絵コンテ
顧客は、なぜ商品やサービスを買うのでしょうか?
それは、「願望の実現」のためにほかなりません。願望の実現とは、言い換えれば「こんな状態になりたい」「こんな問題を解決したい」といった願いを叶えるということです。
ステップ① 理想 自社や自分の理想の状態を思い浮かべる
ステップ② 課題 理想と現状の差を認識する
ステップ③ 価値 課題を解決するために、商品・サービスによって実現しなければならない効果を認識する
ステップ④ 方法 その価値を生み出すため、最適な方法として「買う」ことを選択する
この流れに合致した際、初めてドリルを買うのです。
「理想→課題→価値→方法」のストーリー(物語)を顧客と一緒に組み立てられる営業、「ストーリー営業」がこれからの時代には必要になってきます。
この「ストーリー営業」を実践するために有効なのが、自社の商品・サービスのテレビCMの絵コンテを、試しに営業担当者が自分で描いてみる、という方法です。
例えば、急成長した転職サービス「ビズリーチ」のテレビCMを思い浮かべてみましょう。
社長 「どうせまぁ、大した候補はいないんだろう」(課題)
社長 「これはすごい経歴だ。即戦力じゃないか。こっちはライバル会社。これも、これも、これも……。いったいどうしたんだ」(理想)
社長 「おい、君、いったいどうしたんだ?」
部下 「ビズリーチ!」
ナレーション 「中途採用でも優秀な人材に出会えます」(価値)
ナレーション 「即戦力採用ならビズリーチ」(方法)
たった30秒のテレビCMですが、「課題」→「理想」→「価値」→「方法」というストーリーを見事に顧客に思い描かせることができる内容になっています。
ストーリー営業が有効なのは、BtoB(企業間)の営業の現場だけではありません。BtoC(消費者向け)でも、商品・サービスが高額ならストーリーをうまく活用した訴求が有効です。
安い商品・サービスの場合、顧客は情報さえあれば判断できますが、高額になれば、それだけで買うか否かを決めることはできません。その商品・サービスによって実現される「理想」や解決できる「課題」までセットで提案して、顧客のモチベーションを高めていく必要があります。
BtoC(消費者向け)では、急成長したパーソナルジム「ライザップ」のテレビCMでも、「理想」と「課題」を提起させる流れになっています。こちらはトレーニングする前の姿(課題)を見せた後で、トレーニングした後の姿(理想)を見せ、「結果にコミットする」という「価値」を提示しています。
売れている商品・サービスは、30秒で顧客に買いたいと思わせることができるくらい、「理想」「課題」「価値」「方法」を明確にし、顧客に提示しています。
あなたは、自分の営業する商品・サービスの「理想→課題→価値→方法」を明確に伝えられるでしょうか。もしぼんやりとした言葉でしか表現できないようなら、一度、30秒のテレビCMの絵コンテを自分で描いてみるといいでしょう。