企業物価「41年ぶり」2桁%伸び、原材料価格高騰の“破壊的効果”はこれからウクライナ危機などによる今回の物価上昇の問題は原材料価格の高騰率が極めて高いので、販売価格への転嫁がわずかでも不十分だと企業収益が圧迫する(写真はイメージです) Photo:PIXTA

4月の企業物価指数、前年比10%上昇
2桁伸びは1980年12月以来

 ウクライナ危機などの影響でエネルギー価格などが高騰するなかで、企業間で取引される財価格の変動を示す企業物価指数が、4月は対前年比10%の上昇となった。

 1980年12月(10.4%)以来、約41年ぶりの2桁の伸びだ。

 消費者が値上げを受け入れないために川下産業ほど価格転嫁が難しくなっているとする見方があるが、この見方は間違いだ。現実には最終財にもかなり転嫁されている。

 今回の物価上昇局面の問題は、原材料価格の高騰率が極めて高いので、転嫁がわずかでも不十分だと、企業の付加価値が大きく減ることだ。

 打撃はまだ統計や企業の決算には出ていないが、今後、顕在化する懸念がある。

消費者の“値上げ拒否”で
「川下ほど転嫁が難しい」と言えるか?

 4月の企業物価指数の各段階での対前年同月比を見ると、原材料が65.5%、中間財が18.0%、最終消費財が4.9%で、川下にいくに従って価格上昇率が低くなっている。

 このことから、「川下へ下るにつれて転嫁が難しくなり、値上げが難しい」と言われることがある。