米アマゾン・ドット・コムが電子商取引(eコマース)事業の拡大ペースを落とす決定を下したことで、商用不動産でも特に引き合いの強かった産業用スペース分野の成長が鈍る可能性が出てきた。ただ、当面は他の小売業者などからの需要が相殺する見通しで、倉庫の稼働率や賃貸料の水準を支えるだろうとアナリストは指摘している。産業用不動産の賃料や稼働状況、販売実績はすでに新型コロナウイルス禍前からいずれも増加傾向にあった。その後も倉庫や配送センターの確保を急ぐアマゾンやウォルマート、ターゲットなどの小売り大手が記録的なペースで物件を購入したため、ほぼコロナ禍を通じて活況を呈していた。だが、ここにきて一部の市場では成長トレンドに陰りが出ている。1-3月期売上高がここ約20年で最も低い伸びになったアマゾンが一転して、倉庫スペースをサブリース(転貸)するようになったためだ。アマゾンは米国で産業用スペースの最大級の利用者で、2021年末時点で3億7400万平方フィート前後を所有、または賃貸している。アマゾンの需要を追跡しているカナダのサプライチェーン(供給網)コンサルタント会社MWPVLインターナショナルが分析した。