たとえば「世界各国美人図鑑 その11」は、「中国・北京市で。北京にたくさんできているショッピング・モールの中のホールで、イベントもよく開かれているそうです。ある日のイベントで見つけた美人」と文章が添えられ、3人の女性を正面から撮影していた。

 また「世界各国美人図鑑 その21」は、「ベルギーブラッセルで移動中に。さすがに夕方には肌寒くなっています。買い物帰り(?)後姿美人(?)の一枚」(原文ママ)と書かれ、後ろ姿の女性が写っている。

 ラオスで就寝中の女性を撮影した画像には「周囲の了解を取って撮らせて頂きました。就寝中にごめんなさい!」とあり女性の寝姿が正面から撮影されていた。本人の了解を取らなくて良いのだろうか。

 上記のように国外で撮影された写真が多いが国内のものもあり、北海道大学キャンパスを歩く女性をやや遠くから撮影し、「またまた後姿美人たち(!?)」「ほっとひといき、なごんだひとときでした」と感想を付けている。

「世界美人図鑑」は150枚近くアップされていたようだが、ツイッター上での指摘がきっかけなのか、6月2日頃までに多くが削除された。

人によって感覚が違う、他人の画像をアップする是非

 この投稿に批判が集まっている理由は二つ。

 一つは、先日の記事でも触れた通り、他人の容姿を勝手にジャッジし、軽はずみに言及する行為自体が、最近の風潮では疑問視されつつある。そのジャッジが否定的である場合はもちろん、肯定的な場合でも、である。ルッキズムの観点から批判されることが多いが、場合によってはセクハラと言われることもある。

 ただ、今回の件では「世界美人図鑑」の名称や容姿への言及よりも、もう一つのポイントへの非難が多いように感じられる。すなわち、路上での通行人への撮影行為と、ネット上への掲載である。

 アップされていた画像の中には、講演やパーティーで撮影され、被写体がカメラに向かって笑顔を見せているものもあった。このような画像は、何らかの許可や了承があったのかもしれないが、前述した後ろ姿や寝姿の女性たちの場合、許可が取られたのかどうかあやしい。

 通行人を撮影する行為や、被写体の許可があるかどうかわからない写真をネット上にアップする行為。これらについて何がいけないのかわからないと感じる人もいるかもしれないので、説明したい。

 これらの行為への批判は、法や規則に基づくというよりも、ネット上の暗黙のルールやモラルが元となっている。