吉野家Photo:Diamond

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

すき家、松屋は好調なのに
吉野家ホールディングスだけ減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は21年12月~22年3月の直近四半期(吉野家ホールディングスは21年12月~22年2月期、その他2社は22年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ゼンショーホールディングス(すき家)
 増収率:12.7%(四半期の売上高1653億円)
・吉野家ホールディングス
 増収率:マイナス7.7%(四半期の売上高401億円)
・松屋フーズホールディングス
 増収率:3.6%(四半期の売上高241億円)

※ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 牛丼3社は、ゼンショーホールディングスと松屋フーズホールディングスが前年同期比で増収だったが、吉野家ホールディングスは減収だった。

 吉野家ホールディングスだけ置いてけぼりになった要因は何なのか。理由は「牛丼」以外にあった。

 次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、吉野家ホールディングスの減収要因について詳しく解説する。