どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊客単価アップ大事典「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。

なぜECサイトの在庫表示は、「品薄」ではなく「残り3個」と具体的に書くのか?Photo: Adobe Stock

「曖昧な言葉」よりも
「具体的な数字」が響く理由

 ネットショッピングをしていて、「在庫わずか」という表示よりも「残り3個」という数字を見たときの方が、焦って注文ボタンを押してしまった経験はありませんか?

「品薄」も「残り3個」も、在庫が少ない事実は同じです。

 しかし、具体的な数字の提示は、お客様の懐疑心を解き、今すぐ行動すべき強力な理由を作り出すための、計算された販促戦略なのです。

数字は「数えた人間」の存在を感じさせる

「品薄」「限定」といった言葉は、しばしば「売りたい側の宣伝コピー」として受け取られ、懐疑的に見られることがあります。

 一方、「残り3個」という端数や具体数は、「精密に計測された結果」として脳に処理されます。これは「精密さのバイアス」に近い心理効果です。

 具体的な数値は「実際に確認された現実」としての信頼感を与え、お客様の「本当かな?」という心のブレーキを外すのです。

「誰かが今買っている」という焦り

 もう一つの理由は、他人の存在を意識させることです。

 具体数は「社会的証明」と「希少性」を同時に機能させます。

「残り3個」という情報は、「すでに多くの人が買ったはずだ」という推測を生む(社会的証明)であると同時に、「今この瞬間も誰かが検討しているかもしれない」という競争感覚を引き起こします。

 この「残りを争う競争」への参加意識が、迷いを吹き飛ばし、購買衝動を最大化させるのです。

他のお店でも使える「具体数」の設計

飲食店
「本日の日替わり、残り5食です」とホールで声をかけ、迷っているお客様の決断を促す
・パン屋
「焼き上がり37個限定」と端数で掲示し、希少価値への信頼を高める
・セミナー・スクール
「定員20名」ではなく「現在残り4名」とリアルタイムに開示し、申し込みの緊急性を高める

まとめ

 具体数を表示するのは、

・「計測された事実」として提示することで、広告的な不信感を払拭する
・「希少性ヒューリスティック」を刺激し、手に入りにくいものの価値を高く見積もらせる
・「社会的証明」により、人気がある証拠を視覚的に突きつける

 という、お客様の「後でいいや」という先延ばしを、具体的な危機感によって「今すぐ」に変えるための販促戦略なのです。

岡本達彦(おかもと・たつひこ)
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。