コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
吉野家ホールディングスが
前年同期比2ケタ減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は21年9~12月の直近四半期(吉野家ホールディングスは21年9~11月期、その他2社は21年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ゼンショーホールディングス(すき家)
増収率:9.9%(四半期の売上高1762億円)
・吉野家ホールディングス
増収率:マイナス12.7%(四半期の売上高392億円)
・松屋フーズホールディングス
増収率:マイナス3.9%(四半期の売上高252億円)
※ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
牛丼3社は、ゼンショーホールディングスが前年同期比で増収、吉野家ホールディングスと松屋フーズホールディングスが減収だった。特に吉野家ホールディングスは、前年同期比で1割超の減収となっている。
実は、牛丼を提供する「吉野家」事業としては目立った落ち込みがなかったのだが、大きな減収となった要因は何だったのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、吉野家ホールディングスの減収要因について詳しく解説する。