株を始めるのはとても簡単。スマホだけで口座開設から注文までできるし、今どきは1株、数百円で買うことも可能です。でも、株で成功するためには、本当に必要な基礎知識だけはきっちりマスターすること!『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門改訂第3版』から、基本中のキホン「株を買うとはどういうことなのか?」一部抜粋・編集してお届けします。

株を買うことはその会社のオーナーになることPhoto: Adobe Stock

誰でも少額からプチ・オーナーになれる!

 株を買うということは、ズバリ、その会社のオーナーになるということです。

 ほとんどの人は、「会社のオーナーになるなんて、自分とは無関係」と思っていることでしょう。しかし、株は少額からでも会社のオーナーになることのできる仕組みなのです。

 たとえば、トヨタ自動車でも、NTTでも、ソフトバンクでも、楽天でも、数万~数十万円程度のお金を出すことで、誰でもオーナーとして名を連ねることができます。

 ただし、オーナーといっても、その会社を自分の好きなようにできるというわけではありません。あくまでも共同オーナーのひとりということです。その会社が発行している株をすべて買い占めれば、その会社を100%自分のものにすることができますし、1株だけ買うなら1株分だけ、その会社のオーナーになることができるのです。

 たとえば、2022年3月現在、楽天グループの発行している株をすべて合計すると約1兆5817億円になります。一方、1株は1000円程度です。つまり、1株だけ買うと、1兆5817億円の中の1000円分だけのオーナーになります。

株初心者でもすんなり理解!「株を買う」ってズバリその会社のオーナーになること!

 割合にすると本当に僅かですし、まさに“プチ・オーナー”という感じですが、それでも、紛れもなくオーナーのひとりであることに違いありません。

事業がうまくいったら、株主は“分け前”がゲットできる!

 オーナーである株主は、会社が利益を上げれば、持っている株数に応じて分け前を受け取ることができます。これを「配当」といいます。

 ただし、利益が上がらなければ配当は受け取れません。ちゃんと利益の上がる事業をしている会社のオーナーになった方がよさそうですね。

 また、オーナーは会社の最高意思決定機関である株主総会に出席して、意思表示をすることもできます。その場で社長に質問することもできますし、ちょっと大げさかもしれませんが、株主どうしが共同歩調を取れば、経営陣を入れ替えることだって可能です。なにしろ、社長を含めた経営陣は、オーナーである株主に雇われているという立場なのですから。

 オーナーと会社の利益の関係について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 利益が上がれば配当を受け取れるとお話ししましたが、ズバリ、会社の稼いだ利益は全部、オーナーである株主のものです。これは、賃貸マンションのオーナーの場合と同じです。マンションの家賃収入はオーナーのものですよね。

 しかし、「会社の利益は株主のもの」ということには疑問を持つ人もいるでしょう。たとえば、社員や社長はどうなるんだ、と。実際に一生懸命に働いて利益を稼いでいるのは社員や社長です。彼らが知恵を絞り汗水たらして働くことで、会社は利益を稼ぐことができるのですから。

 実は、社員や社長の給料は会社の経費なのです。会社が稼いだ収入から、社員や社長の給料などの経費を差し引いて、さらに税金を引いて、残ったものが利益になります。そして、この利益は株を買うことで事業資金を投資した、オーナーのものなのです。

利益の一部は、その会社がもっと成長するために使われる

 では、会社の利益のすべてを株主の頭数で割って(正確には発行している株数で割って)、配当するのかといえば、そういう例はあまりありません。

 実際はほとんどの場合、利益の7~9割は翌年以降さらに利益を稼ぐための、事業資金にまわされることになります。製品を作るための機械を買ったり、出店するための土地や建物を購入したりするのに使われるのです。

 株主にもいろんな人がいますから、中には「利益は全額配当しろ」という人もいます。そこは共同オーナーなわけで、株数による多数決によっては全額配当ということもあります。しかし、会社が今年の利益を有効利用することで翌年もっと多くの利益を稼いでくれるのなら、それはオーナーにとって悪いことではないでしょう。また、コロナ禍のような想定外の出来事で大きな損が出た時に、会社を支えるお金にもなります。

 このような、配当されず会社内に蓄えられる利益を「内部留保」といいます。これは会社が株主から預かっているものなので、会社が解散するようなことがあれば、株主に返還されることになります。