JAならけん本店JAならけんの本店。同農協の中出篤伸会長はJA全農役員の地位を利用してインサイダー取引を行なった。Photo by Takeshi Kubota

大手コンビニ、ファミリーマートに対するTOB(株式公開買い付け)に関連して、JAならけんの中出篤伸会長がインサイダー取引を行っていたことがダイヤモンド編集部の調べで分かった。JAならけんでは共済(保険)事業の不適切営業も発覚しており、農協幹部の責任問題に発展することになりそうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

JA全農役員として知り得る内部情報で
ファミリーマートTOB前後に株式売買

 JA全農幹部のモラルが問われる不祥事が発覚した。伊藤忠商事がファミリーマートに対してTOB(株式公開買い付け)を実施した 2020年7月、JA全農の役員(経営管理委員)だった中出篤伸氏は、TOB行使が公表される3時間半前に、ファミリーマート株式を350万円分買い付け、公表後に売却していた。この取引で120万円超の利益を得たという。

 TOBにより伊藤忠がファミリーマートを完全子会社化した後、JA全農と農林中央金庫がファミリーマート株式の一部を取得し、資本参加することが決まっていた。中出氏はJA全農役員として知り得た公表前のTOBに関する情報を基にインサイダー取引を行ったのだ。