ダイヤモンド編集部は農協職員らを対象にJA共済に関するアンケートを実施した。農協で“自爆営業”やかんぽ生命保険の不正販売に類似した悪質な販売が横行していることが分かった。特集『JA自爆営業の闇』(全8回)の#1では、「JA共済の闇」に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
>>農協職員&家族を対象にしたアンケートの回答を追加で募集中です。ご回答はこちらから
https://jp.surveymonkey.com/r/2RMPQFR
アンケートで、自爆営業の報告が
50件に上った共済依存農協も
農協職員が過大な共済(保険)の営業ノルマを達成するために本来、必要のない保険に自分で加入することを“自爆営業”という。かねて、ダイヤモンド編集部は自爆営業が横行している実態を報じてきた。
今回、「農協職員アンケート」を実施したところ、職員ら877人から回答を得られた。アンケートでは実にその9割以上が自爆の実態を認め、全国的に不正販売が広がっていることが明らかになった。
「自爆の共済掛け金の出費に耐えられず退職する人が増えている」「農協の役員や(共済事業の大元締めである)JA共済連は実態を見て見ぬふりをしている。ノルマを達成するために契約者の利益を無視した不適切な販売が行われている」など悲鳴に近い声が多数寄せられた。
農協は農家が農業振興のために設立した協同組合だ。だが、いつしか組織本来の目的を忘れ、組合員ら事業利用者の利益より農協の利益や組織の維持を優先する事業体に堕ちてしまった。
農協“堕落”の象徴であり、元凶となっているのがノルマを職員に課して推進させる共済事業だ。
アンケートで分かった共済事業の推進における不適切な行為(契約者の不利益になる契約の転換や認知症の疑いがある高齢者への保険販売など。詳細は本連載#2『保険金詐欺、悪質な契約転換…農協職員8人が暴露するJA共済「不適切販売」の手口【告発動画】』参照)は、2019年に発覚したかんぽ生命保険と日本郵便による保険の不正販売と酷似している。
次ページでは、アンケートで自爆営業の報告が多かった都道府県やJAを明らかにするとともに、JAグループを蝕む「共済の闇」を徹底解明する。