儲かる農業堕ちたJA#1Photo:erhui1979/gettyimages

農協の大淘汰時代がやって来た。長引く低金利と共済契約者の高齢化により金融事業が減益ショックに見舞われるからだ。ダイヤモンド編集部の独自試算で、対象農協の「4分の1」に当たる118農協が赤字になることが分かった。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の#1では、農協の経営の危うさを徹底解明する。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

「消える農協」はどこだ?
ワースト1位は京都、2位は大阪の農協

 農協幹部たちが組合員に黙して語らない“マル秘の試算結果”がある。農協は金融事業への依存から脱却し、農業関連事業で利益を出すための計画を定めるよう政府から求められている。実は、計画作成のために内々に行った損益試算で、多くの農協が「5年後に赤字に転落する」との結果が出ているのだ。

 ある農協幹部は「金融機関である農協が赤字の試算を公表するわけにはいかない。試算は何も手を打たなかった場合の“成り行き”のものだ。組合員に示す損益計画はリストラを実施し、黒字経営を実現する方のシナリオだ」と内情を明かす。

 そこで、ダイヤモンド編集部は農協がひた隠しにしている5年後の損益試算をできるだけそれに近い形で再現した。

 次ページでは、「JA赤字ランキング2022」の完全版を公開し赤字に転落した118農協の実名を明らかにする。なお、前回までのランキングとは試算の評価を変更しているため、農協の順位が激変している。