小学生に殺到した批判
イノベーションを阻む犯人の「正体」とは
「考えた子たち馬鹿そう――」
社会課題を解決しようという子どもたちに向けられた、匿名の大人たちによる“オトナ気ないバッシング”が注目を集めている。
発端は今年4月、栃木県の小学生6人が開発に関わった「さんぽセル」の発売だった。これは2本の棒状のものをランドセルに取り付けるとキャリーケースのように引きずって運ぶことができ、ランドセル運搬に必要な力が90%軽減されるという優れものだ。
しかし、発売を報じたYahoo!ニュースに1000件を超える批判コメントが寄せられてしまったのだ。その内容を要約すると、ざっとこんな感じである。
「開発者は頭悪いな、ランドセルは子どもが転倒した時に頭を打たないためにあるんだ!」
「成長期の子どもがキャリーを引いて歩いたら体のバランスが悪くなって背骨がゆがむ!」
「ランドセルは毎日背負って歩くことで下半身が鍛えられるのにもったいない!」
「キャリーでは突然走ったり、止まったりという子どもの動きに対応できない、かかとがぶつかり事故の原因になる!」
「ランドセルについている防犯ブザーが体から離れている。キャリーと引き離されたら簡単にさらわれる!」
「キャリーを引きずってたら、不審者に追いかけられた時に逃げにくい!」
とにかく何か恨みでもあるのではないかと思ってしまうほど「全否定」なのだ。もちろん、このような批判コメントを全否定するような声も多く寄せられた。
「人の揚げ足取りばかりのヤフコメおじさんなんか気にしなくていい」
「とにかく他人のやることにケチをつけて否定をして生きてきた人がそれだけ多いことに驚いている」
まったく同感だという人も多いと思うが、この「1000件の批判」はある意味、日本の未来を考えるために非常に有意義なものになっていると思っている。
これらのコメントをつぶさに観察していくと、日本のイノベーションを阻んでいるものの「正体」がボンヤリと見えてくるからだ。