国会議事堂インフレによる実質賃金の低下を懸念する声が強まり、政府は緊急経済対策をまとめる予定。だが、実質賃金引き上げは物価対策とは別の政策で行われるべきだ Photo:PIXTA

ウクライナ問題で不透明感強まる
インフレで実質賃金低下を懸念

 世界的な資源価格の高騰にロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけ、エネルギー価格や商品市況の先行きはますます不透明だ。

 さらに円安が急ピッチで進んだことで、日本でもインフレを心配する声が台頭している。

 欧米の金融政策が超緩和政策からの出口に向かっているのとは対照的に、日本銀行の「緩和維持」の姿勢は変わっていないため、さらなる円安予想が強まっている。

 円安は、さしあたりは企業収益にプラスであり、人々の賃金にも好影響が及ぶと考えられるが、物価上昇がそれに勝れば実質賃金がマイナスとなって生活が苦しくなる、という見立てが増えている。

 岸田首相は、物価高騰などを受けた緊急経済対策の策定を指示し、4月末には対策がまとめられる見通しだ。

 実質賃金が重要なことにまったく異論はないが、今の日本で、インフレによって実質賃金が下押しされそうなことが大問題だという課題設定は正しいのだろうか。