「勉強したいのに、毎日忙しくて時間が確保できない」という人にぜひ読んでもらいたいのが、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』だ。働きながら3年で、9つの資格に独学合格した著者・棚田健大郎氏の「大量に覚えて絶対忘れないノウハウ」を詰め込んだ1冊だ。
1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起したという棚田氏。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明したという。本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。年収アップに効く「狙い目資格」について聞いた。(取材・構成/川代紗生)
年収アップに効く「狙い目資格」とは?
──コロナ禍で世の中は大きく変わりました。どうなるか先が見えない状況で、将来に漠然とした不安を抱いている人も多いと思います。そこで今回、資格試験の勉強法などについて発信されている棚田さんに、「資格はキャリアアップに本当に役立つのか」という疑問にお答えいただけたらと思います。
棚田健大郎(以下、棚田):この質問、本当に多いんですよ。私のYouTubeチャンネル『棚田行政書士の不動産大学』にも、頻繁に寄せられます。実は私自身も、昔は「資格なんて必要ないだろう」と思っていたんですよね。上場企業の不動産会社で社員3000人中1位のトップセールスを記録したこともありましたし、結果を出していたおかげで、自分の営業力に自信があった。資格なんかに頼らなくてもキャリアアップできるし、何の問題もない。そう思っていたんです。
──でも、棚田さんは今、この9つの資格を保有していますよね。
・行政書士
・宅地建物取引士(宅建士)
・マンション管理士
・管理業務主任者
・ビジネス法務エキスパート®︎
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・敷金診断士
・シニアライフ・相続アドバイザー
――すべての資格試験に、働きながら3年で、しかも独学で合格されています。どんな心境の変化があったのでしょう。
棚田:きっかけは、上場企業を退社し、中小の不動産会社の経営者相手に企業コンサルをする事業を立ち上げたことでした。いろんな会社に営業をかけていたとき、とある経営者の方に、「君、何も資格もってないんだね」と言われたんです。
ハッとしました。そのときはじめて、今の自分には、自分の知識やスキルを証明するものが何もないんだと気がついたんです。
「資格を持っていても意味がない人」の特徴
──「資格があっても転職になんか使えない」という人もいますが、棚田さんはどう思いますか?
棚田:それもよく言われますね。でも、それは資格が使えないのではなく、「資格を使いこなす方法」をその人が知らないだけです。そういうことを言う人にかぎって、資格それ自体を仕事や職業であるかのようにとらえていることが多い。そして、「合格したら即キャリアアップ成功」といった、急激な成果を求めがちなんです。
ですが、それは大きな間違いで、資格はそれ自体が仕事なのではなく、仕事を得るための「武器」なのだ、とまず認識するべきです。どんなに使える資格でも、本人が使いこなせなければ「使えない資格」になってしまう。
特定の資格があるから転職活動で無双できる、というわけじゃないんですよね。ただ、自分の力や知識をアピールするときに資格がないと、相手に伝えようがないじゃないですか。たとえば、不動産業界で長年がんばってきて、膨大な知識を持っていたとしても、宅建士の資格を持っていなければ、名刺に書くことすらできない。初対面の人にこれまで自分がやってきた仕事をいきなり全部説明するわけにもいきませんし、相手に伝える手段がないんです。
資格が持つ力とは、「説得力」と「信頼感」だと私は思っています。社歴は名刺に書けませんが、資格なら書ける。自分自身のスキルに付加価値をつけることにつながるので、転職や独立を検討する際には、非常に有利に働くと思います。