関東の保育園に勤務するかたわら、園児たちの日常をつぶやくTwitterが55万フォロワー超えと大人気のカリスマ保育士・てぃ先生。子育てや保育に関するお役立ち情報を発信するYouTubeチャンネルも登録者数65万を超え、今やテレビやラジオなどのメディアでも引っ張りだこ。『子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』『子どもが伸びるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育て〇×図鑑』といった著書も軒並みベストセラーとなっている。
一方の精神科医Tomy先生は、Twitterで日々悩める人々の心を救い、30万フォロワー突破。『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』をはじめシリーズ27万部突破と大ヒット中。自身初の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』も増刷を重ねて乗りに乗っている。
普段から子育て中の親世代と接している2人は、何かと相談を持ちかけられることが多い。また、SNSでは悩みに答える発信を得意とするインフルエンサーでもある。よくある親の悩みにどう答えるか、子どものメンタルの問題への向き合い方、SNSで発信する際に心がけていることなど、2人が語り合った内容をお届けする。
そもそも子どもには
多動とか不注意があるもの
Tomy:「精神科」とひと言でいっても、児童の精神科は普通の精神科とは別物でして、アテクシ自身は児童を診る機会がほとんどないんですよね。ただ、10歳を過ぎると、児童の精神科で診てくれないケースが多くなり、メンタルで困っている小学校高学年から中学生くらいの子は受け入れ先がなくなります。なので、そういう子たちを診ることがあります。あとは、お子さんが発達障害と診断されたお母さんから相談を受ける機会もあります。
その中で、「保育園や幼稚園で先生から診断をすすめられた」という話を聞いたことがあるんですけど、実際にそういうことってあるんでしょうか。
てぃ先生:保育士が精神科や病院の受診をすすめる場合は、園長先生や主任の先生・担任の先生が協議を重ねた結果、「支援センターにお伺いを立ててみてはいかがでしょうか」というケースならありえます。発達障害の問題はお子さんだけでなく、お父さんお母さんに精神的なダメージがある話なので、かなり慎重に扱うべきだと思います。
Tomy:児童の精神科ではADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けるお子さんもいますが、そういう診断に至る前に、そもそも子どもには多動とか不注意があるものだと思うんですよね。だから、年齢に応じたものより、目立った遅れや違和感があれば診断を考えるという話になると思うんですけど、てぃ先生ご自身は、現場でそういう特性に気づくことはありますか?
保育園の先生の当たり外れ事情
てぃ先生:保育園児には、乳幼児検診といって、定期的に発達の評価をする機会があります。そこで専門の先生が診た結果を受けて、お母さんお父さんに気になることがあれば、保護者の側から保育園に相談するケースはあります。逆に、保育園側が気づいて専門家側が気づかないというケースはそれほど数が多くないので、保育園や保育士は、「あの子グレーじゃない?」「こうじゃない?」という話はしないようにしています。保育士は子どもに対する専門家ですけど、診断する専門家ではないですから。
Tomy:では、保育士のお仕事をされている中で、精神科医と関わるシーンはほとんどないということですね。
てぃ先生:「診断されるのが嫌」という理由でお母さんお父さんが乳幼児検診を受けさせない、病院にも支援センターにも行かせないというケースがあれば、保育園側がどうにかするしかないので、お母さんお父さんと話し合って「○月○日に病院に行ってみましょうか」と話をすることになるかもしれないですけど、基本的にはあまりない例ですね。あと、よほど気になることがあれば、専門の先生に来ていただくことがあります。ただ、もちろん保護者の方に了承を得たうえでのことになるので、これも数は多くないと思います。
Tomy:あと、アテクシがお母さん方からよく聞くのが、「今回の先生、当たりだった」とか「当たりじゃなかった」という話です。保護者にとっても、いい先生とそうじゃない先生がいるんでしょうけど、ちょっとあんまりな先生がいたときに、保護者は改善を求めることができるんですか?
てぃ先生:基本的に先生を変えることはできない、というのが結論です。不満があったとして、それを先生本人に言っても変わることってないんですよね。
「もっと優しい言い方をしてください」などとお願いしても変わらないと思うので、どうしても改善してほしかったら、園長先生とか主任の先生にお時間をとっていただいて、お話をするしかありません。園長先生や主任の先生が保護者の言い分に納得すれば、担任の先生に指導することもあります。
ただ、いまは保育園側も保育士が足りない状況なので、何より先生に辞められてしまうことを恐れています。だから、先生を指導してすぐに改善されるというのは、よほどのことがない限り、残念ながら期待できないと思います。
(構成:渡辺稔大)