分散型金融の中央集権的側面
前回、「DeFiが本当にDecentralized(分散型)なのか」との視点を取り上げた。今回はここに焦点を絞り、DeFiの具体的な事例を挙げつつ、「トラストレス」とも称される分散型金融システムに存在する「トラストポイント(中央集権的側面)」について分析したい。
本稿におけるDeFiとは、パブリックブロックチェーン上でスマートコントラクトを活用して構築・提供される金融アプリケーションを指す。(1)取引所のように暗号資産(いわゆるステーブルコインを含む。以下同様)の交換機能を提供する分散型取引所(Uniswap=ユニスワップ、Curve Finance=カーブファイナンス等)、(2)担保として差し入れた暗号資産に応じた与信枠の範囲での借入れを可能とするレンディング(Compound=コンパウンド、AAVE=アーヴェ等)、(3)担保暗号資産やアルゴリズムで価格安定を図るステーブルコイン発行プラットフォーム(Maker=メイカー、Terra=テラ等)――などが代表的なDeFiサービスである。