生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。
ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉の数々。とても読みやすいオムニバス形式の8つの物語は、気づかぬ間に心の荷物を抱え込んで苦しくなったとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。
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【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】「全力を尽くして頑張る」という病

見返りを期待しすぎない

「全力を尽くして頑張る」というフレーズを耳にすることがあります。「全力を尽くす」「頑張る」、どちらも美談のように映るかもしれませんが、あまりよいことばかりともいえません。それは「1つのことにすべてを賭けて頑張ることによって、見返りを期待する」というニュアンスが含まれるからです。

1つのことに期待しすぎると、結果に囚われてしまいがちです。その期待に気持ちを奪われて、体力的にはおろか、気力の面でも全力を尽くせないという逆説的な現象にも陥りがち。うまくいくかどうかが気になりすぎて、訪れたチャンスに挑むことができなくなるという“負のマインド”に陥る可能性もあります。さらに結果がともなうか不安になったり緊張したりして、実力を発揮できないということも考えられます。

「幸運の女神には前髪しかない」ということわざにもあるように、チャンスの女神には前髪しかないので、向かってきたそのときにつかまなければなりません。通りすぎてから慌てて捕まえようとしても、後ろ髪がないのでつかむことができないのです。

1回のチャンスで報われるとは限らない

チャンスはいろんな形を変えながら到来しますから、タイミングが合わず、または気づかないうちに、目の前を通りすぎていくことも実はたくさんあるものです。つまり、1つのチャンスに期待して全力を注いで努力したからといって、その1回で報われるとは限らないということを踏まえなくてはなりません。

全力を尽くしたのにうまくいかなかったとき、燃え尽きてやる気を喪失してしまうことだってあり得ます。コツコツとやっていれば、いつかはうまくいけたはずのことが、もうやれなくなってしまうかもしれないのです。全力で頑張るということは決して否定されるものではありませんが、気持ちのうえで「これしかない」と強く思いすぎることは、リスクがともなうことを覚えておいてください。

チャンスは1度きりではありません。何度でも形を変えて訪れます。1回のチャンスでうまくいかなかったとしても大丈夫。たった1回のチャンスでうまくいくことのほうが珍しいくらい考えておいたほうが無難でしょう。チャンスを活かしてパフォーマンス上げるために頑張ることは大切ですが、「これしかないから全力を尽くして頑張ろう」とすべてを賭けないようにしてくださいね。

『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)には、お悩み解消のヒントが満載です。