資産所得倍増を妨げる「助言したくてもできない問題」の解決法Photo:PIXTA

岸田政権が掲げる「資産所得倍増」を実現するには、NISAやiDeCoの拡充だけでは不十分だ。お金の話に詳しくない人々のための「マネーのアシスタント」が必要になるからだ。しかし、それを妨げる「助言したくてもできない」という問題が横たわっている。その解決法を提案したい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

NISAやiDeCoの拡充だけでは
資産所得倍増には不十分な理由

 岸田文雄首相が「資産所得倍増」と発言し、そのための具体的なプランが年末までに策定される。一般NISA(少額投資非課税制度)ないし、つみたてNISAの利用枠の拡大が目玉になるのではないかと目されているが、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の利用枠の拡充だけでは不十分だ。

 制度がよく分からない、手続きが面倒だ、何に投資したらいいのかが分からない、という個人が少なくないからだ。彼らのための「マネーのアシスタント」が必要だ。

 例えば、仮に先週の本連載『資産所得倍増を実現する「誰にもフェア」ないい方法があった』で書いたように、つみたてNISAの利用枠が大幅に拡大されたとしよう。そこで以下のようなプロフィールの架空の人物Aさんを考えてみたい。

 Aさんは今年65歳で退職するが、まだまだ元気で知り合いの会社の顧問として働く予定だ。現役時代よりも金額は減るがしばらく定期的な収入がある。利用枠が拡大されるというつみたてNISAに興味を持った。しかし、具体的にどうしたらいいのかが分からない。