急激な円安進行は、米ウォール街で今年、最大とも言える注目の取引戦略となっている。こうした中、足元では大きな反転を見込んで、正反対の動きに出る逆張り投資家が増えてきた。円は今年、対ドルで16%余り値下がり。15日には20年ぶり安値に沈んだ。円安の要因は、世界の主要中央銀行が積極的な利上げでインフレ退治を優先する一方で、日本銀行が「不動」を保っていることがある。こうした中、市場ではインフレ加速が日銀の手足を縛るとの見方が浮上。円安はエネルギー輸入国である日本の物価を押し上げ、消費者や政策担当者への圧力が強まるとみられている。シビラ・キャピタルのロレンゾ・ディマティア最高投資責任者(CIO)は「各国中銀がタカ派陣営に相次ぎ加わる中で、日銀だけが例外だ」と話す。「これだけ円安が加速すれば、インフレが悪化する」