武田薬品で8年間にわたり社外取締役を務めてきた坂根正弘氏(小松製作所・顧問)が6月29日に退任する。坂根氏は、クリストフ・ウェバー氏が社長COOに就任した14年に社外取に選任された。コマツで実践した突出した技術でライバル企業を引き離す「ダントツ経営」で知られる坂根氏だったが、その剛腕さへの期待とは裏腹に、日本の事情に疎いウェバー氏の「擁護者」として国内での説明役を担ってきた。
20億円を超えるウェバー氏の高額報酬や6兆円超をかけた製薬大手シャイアーの買収にも異を唱えず、取締役会議長を任されると株主総会で株主からの批判の矢面に立った。株主提案にウェバー氏が回答せずに坂根氏が応じることも多く、株主から「坂根さんは出しゃばり過ぎ」と批判が出るほど。本来、社外取は株主の視点を持って、外部の目で経営を監視する役割を担うが、武田薬品ではその役割が機能していたか甚だ疑わしい。