社外取締役は日本の“最”上級国民――。ダイヤモンド編集部が上場企業3700社を対象に社外取への報酬額を徹底分析すると、そんな実態が明らかになった。特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』の番外編では、社外取1人当たりの報酬額が高い企業トップ10のランキングをお届けする。トップ3に日立製作所や武田薬品工業がランクイン。トップ10には、金品受領問題で引責辞任した財界大物を受け入れる企業や経営が迷走する大手電機メーカーも入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
企業の命運を握る社外取
1人当たり報酬額トップ10
月1回の取締役会出席で、年間数千万円――。社外取締役は今やガバナンス改革の主役だが、その働きぶりと待遇にスポットライトが当たることは少ない。実際、完全な「お飾り」で業績が赤字になっても、また取締役会をサボっても社外取の責任が問われることは皆無だ。
「社外取など雲の上の存在で自分には関係ない」と思う向きもあるかもしれない。だが、社外取はトップ人事やM&A、リストラなど企業の重要な意思決定に携わる。経営陣と共に、自分の会社の命運を握っているのが、社外取なのだ。
ダイヤモンド編集部は、上場企業3700社の社外取「全9400人」を徹底分析し、特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』で、報酬や兼務数などで評価した総合ランキングのほか、赤字・解散価値割れ企業でも報酬が高い社外取や、高年齢の社外取、取締役会の出席率が低い社外取などの複数の実名ランキングを公開している。
今回のランキングは、上場企業3700社の2020年度の有価証券報告書を基に、社外取に支払われた総報酬額を集計。各社の社外取の人数で割ることで、社外取1人当たりの推計報酬額を算出した。
ダイヤモンド・オンラインでは、社外取「全9400人」の報酬実額の実名ランキングも公開している(本特集の#13『社外取締役・報酬ランキング【上位4000人】、上場企業「全9400人」の完全序列、トップは9000万円!』参照)。
報酬額が高い企業ランキングのトップ3には日立製作所や武田薬品工業といった名門企業が入ったほか、トップ10には、不祥事で引責辞任し、古巣からも提訴されている財界大物を受け入れる企業や「ガバナンス不全」で経営が混乱する大手電機メーカーなども登場する。
トップの1人当たり報酬額は5300万円に達し、トップ5はいずれも3000万円を超える最上級の待遇だ。次ページからトップ10の企業の顔触れを見ていこう。
もちろん社名だけではなく、報酬を受け取っている主な社外取たちの実名も紹介していく。「グローバル水準に比べ日本の報酬は異様に低い」と、よくいわれる。では、登場する社外取たちは、報酬に見合う働きをしているだろうか。