家電の“王様”はより大きく、薄く、鮮やかに――。
米国で開催中の国際家電ショー「International CES」で、日本の家電メーカーはフルハイビジョンより4倍高精細な「4K2K」の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビを発表。「技術で韓国に負けている」との揶揄を吹き飛ばすような存在感を発揮した。
「印刷方式で開発した世界最大の4Kの有機ELテレビです」
CES開幕日の1月8日。パナソニックの津賀一宏社長はオープニングスピーチの壇上で高らかに宣言した(写真1)。拍手と歓声のなか、漆黒の画面に浮かびあがった花束が弾ける。画面はもちろん平面で、3D映像でもない。だが、舞い散る花びらは、手品で画面から飛び出してくるかのように見えた。
有機ELテレビは薄く、軽く、省電力を実現できるため、次世代テレビの本命の一つだ。電気を流すと画面そのものが光る性質を利用しているため、鮮やかな色彩やコントラストも表現できる。
パナソニックが発表した56インチの4K有機ELディスプレイの大きさは縦69.3センチ、横が123.3センチ。厚さは薄いところで8.9ミリしかなく、展示ブースでも横から薄さを撮影する人が後が絶たなかった(写真2)。津賀社長は「重さは約12キロで、通常の4Kディスプレイの半分の重さを実現できる」と胸を張る。
ただ、パナソニックが世界最大にわざわざ「印刷方式で—」との枕詞をつけたのには訳がある。CES開幕前日の7日、ソニーが同じ56インチサイズで、4Kの有機ELテレビを報道陣向けイベントで発表していたからだ。