【パリ】エマニュエル・マクロン仏大統領が率いる与党連合が国民議会(下院)選挙で過半数割れした。ウクライナ戦争が消耗戦となる中、ロシアの締め付けによるエネルギー価格高騰を受けて、欧州指導者は経済的・政治的に一段と厳しいかじ取りを迫られることが浮き彫りになった。
マクロン氏の政党は、急進左派の扇動的指導者ジャンリュック・メランション氏と極右政党の指導者マリーヌ・ルペン氏の支援を受けた候補者に国民議会の多くの議席を奪われた。メランション氏とルペン氏はともに、過去最高水準のインフレに乗じて、マクロン氏について、家計のやりくりに苦心する有権者よりも、ウクライナ戦争への対処という外交舞台での自身の役割に関心を向ける指導者と評した。
ウクライナ政府への世論の支持は依然として強いものの、欧州大陸の有権者は現在、戦争による経済的打撃を感じ始めている。欧州の人々は既にサプライチェーン(供給網)の問題などによる物価高にあえいでいた。ロシアのウクライナ侵攻が重なったことで欧州の痛みは増大した。ロシアによる海上封鎖によってウクライナの港から小麦など必需品の輸出が停止し、欧州諸国はロシア産燃料への依存をやめる準備を進めた。