【イスタンブール】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領はロシアのウクライナ侵攻をめぐる世界的な危機に乗じ、自身の影響力を利用して西側諸国とロシアから譲歩を引き出し、トルコが長年掲げる目標の一部を達成しようとしている。
エルドアン大統領は、スウェーデンとフィンランドがトルコと対立するクルド人武装勢力を支援しているとして、両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止する動きに出ている。同時に、ウクライナが海外に供給する食料の多くを輸送する船舶の安全な航行を確保する取り組みに関与し、これらの船舶を黒海でトルコ海軍が支援する可能性を示している。さらに、米国の反対を押し切って、シリアのクルド人武装勢力に対する新たな軍事作戦も辞さない姿勢を見せる。
トルコは武装ドローンでウクライナを支援しており、それはロシアの侵攻に対抗する強力な武器となっている。また、ロシア艦船の一部が黒海に入るのを阻止するとともに、和平交渉の促進を図っている。エルドアン氏がロシアに制裁を科さないことを選択したため、トルコはロシア人とロシアマネーにとって主要な逃避先になった。同氏は現在、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と定期的に対話する数少ない指導者の1人であり、ロシアに和平交渉の受け入れを促している。