訴訟問題と決別したトヨタは反転攻勢に出る。基幹車種「クラウン」のフルモデルチェンジはトヨタ復活の“象徴”。ピンクのクラウンは既存イメージを覆し話題になっている
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 2009年に勃発したトヨタ自動車の米大規模リコール(回収・無償修理)騒動が、最終局面を迎えた。昨年12月末、トヨタは「意図せぬ急加速」をめぐる集団民事訴訟で、原告であるトヨタ車オーナーに11億ドル(約940億円)を支払う和解案に合意した。

 訴訟の争点は、一連のリコール問題拡大によって、オーナーが、問題発覚以前に新車を高値で取得させられたり、転売価格が下落したりする等の経済的損失をどれだけ被ったのか、という点だ。

 これまで、トヨタは一貫して、技術的欠陥に起因する過失を認めてこなかった。にもかかわらず、巨額の和解金を支払ってまで、“グレー決着”に動いたのはなぜか。

 トヨタの経営判断に対して、競合メーカーの見方は割れる。「同じ立場ならば、最後まで闘う決断をしただろう。和解という曖昧な決着は米国ユーザーに受け入れられない」(日産自動車幹部)とする一方で、「米国訴訟社会の怖さをまざまざと見せつけられた。苦渋の決断を避けられなかったのではないか」(ホンダ幹部)。

 実際に、燎原の火のごとくリコール問題は広がった。09年8月の発覚から米公聴会に豊田章男・トヨタ社長が招致されるまでの半年で、「原因追究・検証の猶予を与えられることなく、グループの年間生産台数に匹敵する約1000万台がリコール対象車となった」(トヨタ幹部)と、当時を振り返る。

 転機は、昨年2月に、米国運輸省が依頼した米国航空宇宙局(NASA)の調査で、「意図せぬ急加速」の一因とされた電子スロットル制御装置システムが事故の原因ではないと“シロ判定”が出たこと。一時はトヨタを非難したレイ・ラフード運輸長官が問題の収束発言をした。