半年前には、ロシアがドイツへのガス供給を止めるなどほとんど想像もできない話だった。だが現在、そうしたシナリオが現実味を帯びている。ドイツは23日、ガス不足の警戒レベルを上から2番目へ引き上げた。ロシア国営ガス大手ガスプロムが先週、パイプライン「ノルドストリーム1」の供給量を減らしたことから、警戒レベルの引き上げは意外ではなかった。それでも、ドイツが懸念を強めていることの表れだと言える。欧州で先週、急騰した液化天然ガス(LNG)と電力の価格は一段高となった。政治情勢がどうであれ、何十年も確実にガス供給は続いていた。だがロシアのウラジーミル・プーチン大統領は現在、長年にわたる欧州のスポンサーに対して、ほぼ公然とエネルギーを武器として使いたがっているようだ。ロシアは今年、ポーランドとブルガリアへの供給を中断した。だが両国との契約は終了間近だったため、おおむね象徴的な動きとして受け止められた。ドイツにはロシア産ガスに代わる選択肢がほとんどない。供給を減らすのは大胆不敵な行為だ。たとえそれが間接的な理由で行われたとしても、だ。ロシアはカナダでメンテナンスを受けたパイプラインの圧縮機が戻らないとして、カナダを非難した。