事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請していた自動車部品大手マレリホールディングス(HD)が6月24日、ADRの成立を断念し、簡易再生手続きに移行すると発表した。マレリHDのADR成立は、なぜ阻まれたのか。特集『日産マレリ劇場、開幕』の番外編では、簡易再生への移行を巡る、銀行団の約1カ月の攻防戦を明かす。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
マレリがADR断念、倒産へ
簡易再生巡る約1カ月の攻防戦とは
「釈然としない」(マレリホールディングス〈HD〉に融資する邦銀幹部)――。
事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請していた自動車部品大手マレリHDが6月24日、ADRの成立を断念し、法的整理における民事再生手続きの一種の、簡易再生手続きに移行すると発表した。
発表は24日に開催された第3回債権者会議の後に行われたが、ADRが成立するか否かは貸し出し上位行であっても、会議当日まで見通しが立たなかったという。マレリHDの再建について、銀行団はそれほどギリギリまで揉めていたのだ。
事業再生計画案への全会一致の賛成が条件となるADRの成立。そのネックとなったのは、外銀の反対だ。
外銀はすでに、5月31日の第2回債権者会議でも「『本国の決裁が間に合わない』と訴えていた」(マレリHDに融資する銀行幹部)というが、その後の約1カ月間、邦銀は外銀の“真意”を探るのに翻弄(ほんろう)される日々を送ることになった。
マレリHDのADR成立に反対した外銀とはどの銀行だったのか。なぜ、彼らは最後まで首を縦に振らなかったのか。次ページでは、邦銀にもわだかまりを残したマレリHDの簡易再生移行を巡る約1カ月の攻防戦を明かす。