ロシアによるウクライナ侵攻のあおりで、食料価格が至るところで高騰しているが、アジアではそれほど深刻ではない。コメのおかげだ。豊作が続いているコメは、農作物にしては珍しく、おおむね昨年より値下がりしている。インドからタイ、ベトナム、日本に至るアジア一帯はコメを主食としており、そこに住む数十億もの人々にとって、これはありがたい状況だ。米農務省のデータによると、南アジア、東南アジア、東アジアを含むこの地域は、世界のコメの80%以上を生産および消費している。対照的なのは小麦やトウモロコシ、植物油で、これらの主要輸出国であるウクライナの戦争で供給が滞っている。パンが主食のエジプトやレバノンなどの人々は特に大きな打撃を受けている。そればかりか、ガスや飼料、肥料の価格上昇により、大豆や鶏肉なども値上がりし、世界的に飢餓が広がっている。