クアルコム、アップルの「賞味期限」に注意をPhoto:VCG/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米半導体大手クアルコムはアップルを「もうあと数口かじる」ことができるかもしれない。だが、どの甘いご褒美もそうであるように、砂糖による興奮が続くと期待すべきではない。

 クアルコム株価は今週に入り、大きく上昇した。アップルが取り組んでいる独自モデムチップの開発が難航しているとする有力アナリストのツイートが追い風だ。台湾・天風国際証券の郭明錤(ミンチー・クオ)氏は自身の情報筋の話として、アップルの5G(第5世代)対応モデムチップ開発は「失敗した可能性がある」と指摘した。そのため、クアルコムは2023年終盤に発売される新型「iPhone(アイフォーン)」向けのモデムチップを引き続きすべて供給する見通しだという。同氏はアップルのサプライチェーン(供給網)に情報提供者を多く抱えることで知られる。

 クアルコムは昨年、アナリストに対して、その頃までにはiPhone向けのモデムチップで自社の占める割合が20%程度になるとの見方を示していた。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏は、iPhone向けのモデムチップを引き続き独占することで、クアルコムの2024年9月通期売上高は40億~60億ドル(5400億~8150億円)押し上げられると推定している。これは現行の市場予想からは8~12%の上振れだ。