変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。本連載では、そのために必要なマインド・スキル・働き方について、同書の中から抜粋してお届けする。

なぜ、シンガポールの地下鉄には時刻表がないのか?Photo: Adobe Stock

100点は目指さなくていい

 皆さんは、報告書を作成する際に何点を目指していますか?

「それは100点に決まっているでしょう」という声が聞こえてきそうですが、では100点とは何を意味するのでしょうか。自分にとっての100点と、他の人にとっての100点は同じものでしょうか。

 我々は日本の学校教育で100点を目指すようにと教えられてきましたが、ビジネスにおいては、絶対的な基準にもとづく100点というものは存在しません。

 仮に存在していたとしても、ある人は70点でも満足するかもしれませんし、ある人は50点でも満足するかもしれません。要は、ビジネスにおいては、相手の評価基準と目指すべき点数を明確にする必要があるということです。

 日本の地下鉄は緻密な計画と運用によって時間通りに到着します。そして乗客はそれを当然と考えて、遅れると文句を言いますが、それに対して追加で対価を支払うことはありません。

 一方で、驚かれるかもしれませんが、シンガポールの地下鉄には時刻表がありません。それでも、何分後に次の電車が到着するかは分かるため、特に不便はありません。

 相手を満足させるために、常に相手の基準において100点を目指すことは素晴らしい姿勢です。

 しかし、多くの場合、80点を取るための労力と、80点から100点に上げるための労力は同じくらいかかることを知っておいてください。そして、当たり前ですが、相手は価値を感じないものに対して対価を支払うことはありません

 相手の基準が80点でいいのなら、80点のアウトプットを出すことで仕事の迅速化と効率化が図れます。