相手の期待値を常に少しだけ上回るアウトプットを目指す

 コンサルティングにおいて次に重要なのは、アウトプットの際に、相手の期待値を常に少しだけ上回るようにするということです。

 卑近な例ですが、いつもしかめっ面をしている上司が、ときたま笑顔で褒めてくれたときのほうが、常に素敵な笑顔の上司に褒められたときよりも、その嬉しさや意外性は大きいのではないでしょうか。これは、常にしかめっ面の上司からは、そもそも笑顔を期待していないため、部下の期待値を上回ったからです。

 ただし、常にしかめっ面でいることによるデメリットも大きいため、決してそれを推奨する訳ではありません。

 例えば、上司から夕方の17時に「明日の朝までにA社について調べてほしい」と言われるのと、「1週間後までにA社について調べてほしい」と言われるのでは、相手の期待値が異なることが分かるかと思います。

 明日の朝までに会社概要、簡単な財務数値、直近のニュースを知りたい上司に対して、徹夜してパワーポイント30枚分の資料をまとめても、大して評価はされないでしょう。

 それよりも、日経新聞には出ていないような外国のニュースサイトの関連情報などが調べてあった方が上司も喜ぶでしょう。

 また、相手の期待値が分からなければ、事前に確認することも重要です。

 もし相手の期待値が高すぎる場合には、期待値を下げたり、場合によってはその依頼を断る勇気を持つことも大切です。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援(事業計画立案・実行、M&A、資金調達など)に従事。その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。退任後、経営共創基盤(IGPI)に入社。
2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。
現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
IGPIグループを日本発のグローバルファームにすることが人生の目標。
細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。
超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。