変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に、素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術だ。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。本連載では、そのために必要なマインド・スキル・働き方について、同書の中から抜粋してお届けする。

答えのない時代に、素早く成果を出すためのアジャイル仕事術とは何か?Photo: Adobe Stock

アジャイル仕事術とは何か?

 本連載のテーマは「超速で成果を出す アジャイル仕事術」です。

 アジャイル仕事術とは、答えのない時代に、素早く成果を出すための仕事術です。アジャイルとは、「俊敏」や「柔軟」といった意味ですが、変化に合わせて俊敏に対応するアジャイル仕事術は、今日のような環境や働き方の変化が激しい時代には、最適な仕事の進め方だと考えています。

アジャイル仕事術との出会い

 私がこの仕事術に出会ったのは、今から15年ほど前のことで、ある基幹システムの入れ替えプロジェクトを担当したことがきっかけでした。そのプロジェクトでは、本連載で紹介するアジャイル仕事術のもとになっているアジャイル開発というソフトウェア開発手法を使っていました。

 アジャイル開発手法とは、一言で言うと「小さな単位で柔軟にシステムの実装とテストを繰り返すことで全体の開発期間を短縮する手法」です。

 それまでのソフトウェア開発では、ウォーターフォール型といって、前の工程が終わると、それが次の工程の担当者に渡されるというバトンリレーのような進め方が主流でした。

 しかし、そのやり方では時間がかかる割に、当初目指していた仕様とは異なるソフトウェアが最終的に仕上がってしまうなど時間とコストのロスが大きく、業界で大きな問題となっていました。アジャイル開発手法は、それらを改善する目的で生まれた新しい開発手法です。

 今回紹介するアジャイル仕事術は、それ以来、私が15年ほどかけてビジネスの現場で応用し、工夫しながら体系化した仕事の進め方です。