壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。『死ぬまで上機嫌。』には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。

【漫画家・弘兼憲史が教える】どうしても自分と他人を比較してしまい心がザワつくことがなくなる考え方のコツ作:弘兼憲史 「その日まで、いつもニコニコ、従わず」

人と比較して一喜一憂してしまうワケ

友人とは、ただ楽しくつき合えばよくて、いちいち友人と自分の境遇を比べて一喜一憂する必要なんてありません。自分より幸せそうに生きている人と比べても、つまらない劣等感を抱くだけです。

「あいつはオレよりいい家に住んでいる」「有名大学を出て一流企業で働いている子どもたちと仲よくやっているようだ」「オレはがんを経験したのに、あいつは一つも大病を経験していない」。そうやって比べ出したらキリがないでしょう。

おもしろいことに、相手と圧倒的な差があれば、人は比較しようとは思いません。「どうしてオレはビル・ゲイツみたいな大金持ちになれないんだろう」と世界一の大富豪と比べて、真剣に嫉妬する人はいないでしょう。その点、友人関係にある人は年齢も社会的な立場も近い人が多いですから、自分より優っている部分が気になります。身近な存在だからこそ、自然に比較してしまうわけですね。

人は人、自分は自分でいいじゃない

幸せそうな人を嫉妬することもあれば、逆に自分よりも不幸そうな人を見つけて、安心材料にしようとする人もいます。「あいつは生活が厳しそうだ。オレのほうが、まだマシだな」。そんな優越感に浸って、自分を納得させようとする発想です。

70代になってまで、他人と比べて一喜一憂したところで、どうなるものでもありません。今さら地位や収入、家族構成を変えるわけにはいきません。知人が自分より幸せそうに見えるからと嫉妬心を抱いたところで、自分が幸せになれるわけではありません。

また、自分より不幸そうな人を見て安堵することは、自分が幸せになるのとはまったく別物です。だったら、人と比べるのはやめてしまうことです。「自分は自分、他人は他人」と割り切れば、気持ちがスッキリします。

心がスーッと軽くなるコツ

自分の立場をひけらかすような人がいたら、無用な対抗心を燃やすのではなく、すーっと離れればいいのです。そうやって接点を持たないようにしていけば、結局は多くても5人くらいとつき合うのがベストだと感じるはずです。

どうしても人と比べてしまいそうになったときは、「自分のモノサシ」を意識すれば気持ちが惑わされずに済みます。人と比べるのではなく、「自分に挑む」という感覚です。

「自分のモノサシ」を意識するのは簡単なことです。例えば、何かをするときに自分で目標を設定する習慣をつければいいのです。ゴルフだったら「今日は90で回ろう」、ウォーキングなら「1日1万歩を達成しよう」という具合です。

自分の目標を達成できれば自分の勝ちであり、達成できなかったら負け。自分の目標に目を向けていれば、他人のことなど気になりません。他人をモノサシにするのではなく、自分をモノサシにする。自分が納得できれば、それで十分じゃありませんか。

※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。