壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。『死ぬまで上機嫌。』には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。

【漫画家・弘兼憲史が教える】ひとりの時間を楽しむコツ作:弘兼憲史 「その日まで、いつもニコニコ、従わず」

朝起きたらやってみること

本当に一人暮らしをすることになったら、あり余る時間を一人で過ごすことになります。そこで重要になるのは、「小さな課題」を見つけて、一つひとつ楽しみながらこなしていく力です。僕は、1日単位でスケジューリングをして、予定をこなしていくのがとても得意です。

朝起きると「今日は○○と△△をしよう」と段取りを考えるのが日課になっています。「15時に□□をして、17時に××をするから、午前中にこのくらい仕事をこなして、その後、買い物に行って、ついでにあれを注文して……」。こんなふうに、最も効率のいいスケジュールを組んで、瞬時に効率のいい段取りを導き出すことができます。そして、自分で立てたスケジュールは、ほぼ予定通りにこなす自信があります。

一つひとつの予定を段取りよくこなしていくことに生きがいを感じているといったほうが正しいかもしれません。小さな仕事を見つけて一つひとつこなしていく。これは、忙しい現役世代の人だけでなく、一人で生活する高齢者にも応用できる手法です。高齢になったら、長いスパンで人生を考えても仕方がありません。それよりは、小さなことでも今日やるべきことを見つけて、それに取り組むほうが大事です。

ゲーム感覚で地味な作業にも達成感

例えば、朝起きたときに「今日は蛍光灯まわりにたまっているホコリを掃除する」と決める。そして、部屋の蛍光灯をいったん外してみるのです。特殊な蛍光灯の場合、外し方がよくわからず、小一時間にわたって格闘するなんてこともあります。蛍光灯を外せただけで、ちょっとした達成感を感じることでしょう。

シェードと蛍光灯を丁寧に拭いて再び点灯させると、断然部屋が明るくなるので、気分も高揚すると思います。こういう地味な作業が楽しいと感じられるようになったらホンモノです。やるべき作業は「たまった本を処分する」でも「○○まで散歩する」でも、なんでも構いません。計画通りにクリアできたら自分を称えましょう。

仮に計画通りにいかなくても、誰からも責められないのですから、気楽です。ちょっとしたゲーム感覚で、自分がワクワクする心を感じ取りながら行うのがコツです。

※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。