民主党4人のトップリーダー(鳩山、菅、小沢、岡田氏)の間には、性格、政治手法、考え方などに当然隔たりがあるが、1つだけ顕著な共通点もある。
それは、4氏ともに「二大政党制の確立」と「政権交代」に使命感を持って取り組んできたことだ。これは長らく4氏にとって最優先の重要課題であった。
だから、昨年の総選挙で民主党が大勝して政権交代が実現した際には、かつてない達成感を味わったことだろう。
しかし、「二大政党制」とか「政権交代」はあくまでも政策決定の仕組のレベルの問題であって、政策の中身の問題ではない。「どうやって決めるか」ということであって、「どういう国をつくるか」という問題ではない。
実は、この点に現在の民主党政権が迷走している原因があると私は考えている。
要するに、民主党と一般有権者の間に、この点についての大きな認識の差があるのだ。
「二大政党制」「政権交代」を
終着点にしていなかったか
有権者は、2つの立派な政党があれば歓迎だが、とりあえず1つの立派な政党があってほしいと願っている。政権交代も悪くはないが、とりあえず直面する重要課題を解決できる1つの政権ができればよいと期待している。
福田康夫内閣当時、小沢一郎氏は「大連立」を仕掛け、民主党やメディアから袋叩きにされたが、当時もその後も、連立の形態についての世論調査では、自民と民主の大連立を期待する人が他を圧していた。二大政党制や政権交代を唱える人たちにとって、これは断じて許せないことだ。
有権者側からすれば、重要な局面だから党派を越えて有能な人材を起用してほしいと願うのは当然で、政党などは二の次の問題なのだ。
報道によれば、鳩山首相は総選挙中に、記者から「疲れましたか」と聞かれて、「いや、政権交代と言っていればよいのだから疲れない」と冗談まじりに言ったそうだ。