スイスが2月、欧州連合(EU)に続きロシアの新興財閥(オリガルヒ)に対する制裁発動を決めると、この静かなアルプスの保養地はまさに標的をとらえる格好の場に思われた。市内には、ロシアの富豪が設立した会社のオフィスが密集しており、大型ガスパイプライン「ノルドストリーム」運営会社の本部や国営エネルギー大手ガスプロムのエネルギー取引部門も立ち並んでいる。あまりに多くのロシア富豪が自宅を構えているため、地元の野党関係者は「オリガルヒツアー」と称して観光客を案内し始めたほどだ。現地紙はツークを「リトルモスクワ」と呼び、地元指導者が市内周辺に「クレムリンの壁」を建設したがっているとの冗談を載せた。
ロシア富豪の「遊び場」スイス、制裁の盲点に
プーチン氏に近いオリガルヒの資産特定を秘密保持の伝統が阻む
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