安倍晋三元首相の死去を受け、自民党の最大派閥、安倍派が漂流している。派内には安倍氏の後継会長として5人の有資格者が存在し、すでに水面下では激しい暗闘が繰り広げられている。有力者5人の実名と併せ、安倍氏死去からわずか3日後に、派閥領袖の座を巡り有力候補が主導した「謀議」とその顛末を明らかにする。(ジャーナリスト 千波鴻一)
安倍氏死去で漂流する最大派閥
後継会長の候補5人も「分裂」懸念
リーダーを喪った自民党の最大派閥が漂流している。
安倍派、つまり「清和政策研究会」は衆議院議員が60人、参議院議員三十余人を数える大所帯だが、派閥会長の安倍晋三元首相を喪った今、後継のリーダーを選ぶという当たり前の手続きにも難儀しているのだ。
清和研の中堅代議士が嘆息する。「誰もが納得する人材が1人もいないのです。単に派閥の会長候補という観点で見れば、うちの派閥には有資格者が5人います。しかし、5人の誰が会長ポストに就いたとしても一悶着(もんちゃく)、二悶着は覚悟しなければ……。最悪、派閥が分裂しないとも限らない。政治的に非常にセンシティブで、安倍さんが亡くなった当日から水面下では激しくやり合っています」
次ページからは、最大派閥を率いるリーダーの有資格者である5人の実名を紹介するとともに、水面下で繰り広げられる暗闘を明らかにする。有力候補のうちの1人が安倍元首相の死去からわずか3日後に、自らを後継会長にすべく主導した「謀議」の中身とその顛末(てんまつ)について詳報する。