清和政策研究会で拳を合わせる岸田文雄首相と安倍晋三元首相自民党・安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーで安倍晋三元首相(左)と拳を合わせる岸田文雄首相(5月17日) Photo:JIJI

参院選で自民党が「独り勝ち」も
党内は流動化するという皮肉

 参議院選挙は自民党の「独り勝ち」に終わった。単独でも改選過半数を超え63議席。首相の岸田文雄は昨年の衆議院選挙に続き、「国政選挙2連勝」を果たした。その足取りは2012年衆院選、13年参院選を勝利して長期政権への道を開いた元首相の安倍晋三と重なる。

 ただし、岸田を取り巻く状況は全く違った。安倍が凶弾に倒れ、命を奪われるという衝撃的な事件の影響だ。自民党は参院選では安定的な議席を得ながら党内は流動化するという極めて皮肉な状況に直面している。

 岸田自身も7月11日の参院選大勝を受けての記者会見で、「(安倍の死が)党内の動向に影響を与えるだろう」と語っている。そもそも岸田政権は昨年10月の政権発足以来、従来の自民党政権にはなかった特異な権力構造を持っている。

 次ページでは、岸田政権の特異な権力構造の内幕を詳報しつつ、存続の危機に直面した自民党最大派閥の安倍派が模索する「集団指導体制」に向けた動きや、その構成メンバーとして取り沙汰されている5人の実名を明らかにする。