世界的なリセッション(景気後退)に対する不安が高まるとともに、世界的な食料不足への懸念が和らいでいることで、穀物相場の上昇は反転しつつある。だが、企業幹部や農業担当エコノミストらによれば、食料供給への圧力は何年も続く可能性がある。トウモロコシや小麦など農産物の価格は、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻開始を契機に数カ月にわたり急騰した後、ここ数週間で急落している。この2つの農業大国間の戦争を受けて、シカゴ商品取引所(CBOT)の小麦先物価格は3月に1ブッシェル当たり4ドル上昇したが、その後は1ブッシェル当たり5ドル(40%)超下げ、開戦前の水準を下回っている。ウクライナでの戦闘開始後の数週間、政府当局者や農業関連企業は、100年以上前から続いていた穀物取引システムの再構築を急いだ。世界各国は、東欧からのトウモロコシ、小麦、ヒマワリ油の大量供給が途絶える場合に備えて、自国での穀物生産拡大や海外で新たな調達先確保に取り組んだ。
世界の穀物市場、供給圧力は何年も続く可能性
小麦価格は急落後も、ウクライナ戦争による供給懸念で高止まり
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