金融庁金融行政の在り方が問い直されている Photo:Diamond

昔は“銀行店舗の内装”まで指導していた!?
金融行政に「永遠」など存在しない

 7月1日、金融庁は2022事務年度を迎えた。そこで今回は金融行政のあるべき姿について、あらためて考えていきたい。

 金融行政は、常に時代の影響を色濃く受けてきた。1997年度の規制緩和で完全撤廃されるまで敷かれていた「店舗規制」を振り返ると、その変貌ぶりがよく分かる。

 戦後の金融行政といえば、重要な柱の一つは、“適切な”店舗展開を促すための店舗規制の徹底だった。

 例えば、銀行や信用金庫などの金融機関に対しては、細かい店舗の設置条件を定めていた。一般店舗を新設する場合は、「周囲300メートル以内に、同種・異種の金融機関の数が合わせて4未満の場所」でなければならないといった具合だ。中小金融機関を保護するため、高度経済成長下での過剰な出店競争を抑制したわけである。

 店舗の設置場所だけではない。人員数や出張所の取り扱い業務なども細かく指定していた上、内装が過度に豪華にならないよう「抑制的指導」まで行っていたという。規制業種である金融機関が華美な店舗を構えて、国民の反感を買わないようにするためだ。

 ところが今では、金融機関の店舗の在り方そのものが問い直されている。スマートフォンの普及によってリアル店舗の利用は減少しており、店舗削減こそが銀行経営を改革する上で重要な施策となっている。

 金融行政に「永遠」など存在しないということだ。

 次ページでは、金融行政の変遷と今後の課題について論じていく。