開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
初めての子育ては「わからないこと」だらけ
私自身、たくさんの親子を見てきました。はじめての子育ては親にとってわからないことだらけです。そのため、失敗もたくさんします。
そして、2人目の子どもからは、そうした失敗経験を生かしながらいろいろ修正していくことができます。
こうしたことは子どもの学力を伸ばす過程でもあてはまるので、世間では「2人目の子どものほうが1人目より優秀だ」とよく言われます。
となれば、ひとりっ子の親としては、「多くの子育て経験を持つ親の子どもたちに、わが子がかなうはずがない」と後ろ向きな気持ちになるかもしれません。
しかし、視点を変えると事態はまったく変わってきます。経験は、ときにマイナスに作用するのです。
2人目以降の子どもの場合、親は過去の経験によって「わかったつもり」になっています。それが正しいか間違っているかはべつにして、ある種の固定観念を持った上で子育てをします。
そのため、固定観念から外れた未知の可能性を追い求めることをしません。結果的に、子どもが大化けするような突発的な化学反応が起きにくいのです。
ひとりっ子の家庭が持っている強み
一方で、1人目の子どもには、固定観念にとらわれない幅広い選択肢が与えられる確率が高いです。子どもには、親が気づきにくい隠された伸びしろがたくさんあるのです。
それに、ひとりっ子と2人目以降の子どもでは、親がかけられるお金も時間も違います。
たとえば、塾の費用は子どもが2人いれば2倍かかります。でも、ひとりっ子ならその2人分を集中投下し、2つの塾に通わせることもできるでしょう。
さらに、親が宿題を見てあげる時間も、塾に送り迎えしてあげる時間も、ひとりっ子や第一子にはたくさんかけられます。
ところが、子どもが複数いれば親も大変で、「お兄ちゃん、ちょっと見てあげて」「お姉ちゃん、一緒に連れて行ってあげて」と、子ども同士で解決させることが増えます。
子どもの成長過程においては、そうした兄弟姉妹の関わりによって得られるものが確かにあります。しかし、兄や姉の影響が大きくなる分、親が関われる部分は少なくなります。
ここが、非常に大きなポイントです。
ひとりっ子の場合、家庭で接するのは、兄や姉という子ども世代ではなく、もっぱら両親や祖父母という大人だけ。そして、その大人たちの応援も干渉も全部ひとりで受けています。
だから、大人たちがどう接するか次第で、子どもはいかようにも伸びる。つまり、大きな伸びしろを有しているのです。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)