「ディズニー入園に何円まで払う?」の調査で判明、夢の国“新・価格戦略”の緻密Photo:YOSHIKAZU TSUNO/gettyimages

東京ディズニーリゾートは近年、立て続けに入園料を値上げしている。さらに今年5月からは新たな有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を開始。その大胆な価格戦略が注目を集めている。東京ディズニーリゾートの価格戦略の狙いはどんなところにあるのか。価格設定の専門家が徹底解説する。(プライシングスタジオ代表取締役 高橋嘉尋)

東京ディズニーリゾートが
値上げと値下げを同時に進める理由とは?

 サンリオエンターテイメントは、2022年4月8日入場分から運営するテーマパーク「サンリオピューロランド」の入場料金に変動価格制を導入した。大人料金で平日3600円、休日3900円だったパスポートチケットの料金は、平日・休日の区別をなくし3600~4900円に変更された。変動価格制とは、時間帯や条件によってモノやサービスの価格を変動させる手法で、「ダイナミックプライシング」とも呼ばれる。昨今、テーマパーク業界にはこの変動価格制が広まりつつある。

 レゴランド・ジャパンは18年7月、夏休みや年末年始などを含む繁忙期(ピーク期)と、それ以外のオフピーク期の需給状況に合わせた価格設定を導入。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も19年1月、チケット価格を変動制へ変更。そして、東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド、東京ディズニーシー)も21年3月、入園チケットに変動価格制を導入した。

 サンリオピューロランドの変更は、それらに続くものだ。新型コロナウイルスの影響による入場者制限も、この流れを後押ししていたといえるだろう。

 テーマパーク業界に変動価格が広まる中、さらに大胆な価格戦略を展開しているのが、東京ディズニーリゾートだ。

 そのうちの一つが、22年5月から導入された、ディズニー・プレミアアクセス(以下、プレミアアクセス)だ。プレミアアクセスを利用すると、パーク入園後、東京ディズニーリゾートアプリなどから特定の施設を時間指定で予約し、短い待ち時間で体験することが可能だ。料金は1施設につき(1回)、1人2000円。

 また東京ディズニーリゾートには、このように単価を上げる戦略もあれば、下げる戦略も存在する。

 値下げ戦略の一つが、「東京ディズニーリゾート・キッズサマーファン!キャンペーン」だ。これは、6月27日~8月31日までの期間、子ども(幼児・小学生)の東京ディズニーランド、東京ディズニーシー両方の入園料を通常の半額にするというもの。1デーパスポートは通常4700~5600円のところを2350~2800円で提供する。

 なぜ、次から次へと大胆な価格戦略を展開するのだろうか。本記事ではその裏に迫る。