
高橋嘉尋
ジブリパークの新エリア開園に伴う料金プラン改定が話題になっている。刷新後のチケット代は「最大7800円」となるほか、アトラクションの利用料が別途発生する。これに対して、インターネット上などでは「高すぎる」「ディズニーランド並みのお金がかかる」といった批判が殺到。愛知県知事の大村秀章氏が、SNSの「X」(旧Twitter)で「『県の施設だから、もっと安くしろ』という意見・考え方は(中略)受け入れることはできません」と反論する事態に発展した。今回の料金プラン改定に妥当性はあるのか。価格戦略のプロが考察する。

2024年1月24日、日本マクドナルドが店内およびデリバリーメニューを対象に、10円から30円の値上げを実施した。マクドナルドは昨今半年に1度のペースで値上げを繰り返している。今回も23年7月の値上げ以来、半年のスパンでの再値上げとなった。「ここ2年間で5度目」という度重なる値上げを、顧客はどのように受けとめているのだろうか。また、値上げに妥当性はあったのだろうか。独自調査をもとに考察した。

サウナブームが到来して久しい。今やサウナ施設の数は全国1万2000以上ともいわれ、特色あるサウナも次々と誕生している。施設の利用料金は1000円以下の安価なケースから、数千円の個室サウナなど高単価のケースまで幅広く、価格体系もさまざまだ。今回の記事ではサウナの料金体系を例に、最適な価格モデルを構築するための考え方について考察する。

国の重要文化財に指定されている愛媛県松山市の観光名所「道後温泉本館」が、入浴料金の値上げ案を発表した。同施設は現在工事中のため、一部施設は利用できない。今年7月から全館で営業を再開するに当たり、「神の湯」の入浴料金が「460円→700円」と約1.5倍に引き上げられる予定だ。数値的なインパクトは大きいものの、顧客の反応は意外にも寛容である。果たして顧客の心理はどう動いていたのか。その支払い意欲を独自調査で導き出したところ、納得の理由が明らかになった。

楽天グループ(以下、楽天)が運営する、北米のプロバスケットボールリーグ「NBA」の試合動画配信サービス「NBA Rakuten」が何やら騒がしい。そのワケは、10月20日に実施された料金プランの大幅改定にある。従来価格の「1.5倍以上」という値上げ率は顧客に大きなインパクトを与え、ネットを中心に賛否両論が巻き起こっている。果たして今回の値上げは“成功”といえるのだろうか。本稿では「NBA Rakuten」が値上げに踏み切った背景やその妥当性を、独自の調査から検証する。

去る9月6日、PlayStation向けのサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」の一部プランで30%超の「大幅値上げ」が断行された。値上げから約2カ月がたち、さまざまな利用者の声が聞こえてくるが、意外にも許容する反応が少なくないようだ。一見すると強気にも思える今回の値上げは、なぜユーザーに受け入れられたのだろうか。独自調査を基にひもといた。

2022年から世間をにぎわせている「エッグショック」。鳥インフルエンザの流行を背景に供給が間に合わず、卵の価格が長らく高騰している。そんな最中、23年4月に大手飲食チェーンの「なか卯」が看板商品の親子丼を40円値下げし、大きな話題となった。原価が高騰する中での思い切った値下げ戦略だが、果たして価格設定は妥当だったのか。独自調査からひもとく。

日本マクドナルドが2023年7月、今年2度目となる値上げに踏み切った。値上げの理由を「店舗運営コストへの対応」と断言した今回は、これまでの一律値上げではなく、店舗の立地によって値上げ幅を変える新施策に乗り出した。このことにより、「都心型・準都心型店舗」とそうでない店舗では同じ商品でも販売価格に差が生まれた。消費者からさまざまな反応が聞こえてくるが、果たして今回の値上げに妥当性はあるのか。独自調査を基に考察した。

4月14日に開業した「109シネマズプレミアム新宿」。座席数を通常の半分以下に減らし、全席プレミアム仕様のシートを採用したこれまでにない映画館は、そのコンセプトと1席4500円/6500円という料金の高額さから大きな話題を呼んだ。なぜ109シネマズはこれほどまでに高級な映画館をオープンするに至ったのか。プライシングをひもとくと、背景にある狙いが見えてきた。

JRグループが訪日旅行者向けに販売する「ジャパン・レール・パス」の値上げが発表された。平均値上げ率70%の大幅改定とあって複数のメディアが反応し、一部では「海外客が鉄道を使わなくなるのでは」と先行きを不安視する声も上がっている。しかし価格戦略の専門家である筆者には、今回の値上げは戦略的なプライシングであるように映った。大胆な値上げの裏に隠された納得の理由を解説する。

需給に応じて価格が変動するダイナミックプライシングが国内外で普及しつつある。この値付けは企業・消費者の双方にメリットをもたらし得る半面、価格が高騰すると顧客離れにつながるリスクもある。実際に米国では、ボウリングの利用料金が「2時間5万円」と高騰し、消費者の反感を買った。日本でも旅行やスポーツなどの業界で導入されているが、顧客からの反発はゼロではない。この手法が広く受け入れられるには何が必要なのか。独自調査の結果を基に、適切な運用方法について考察する。

日本マクドナルドが今年1月、過去1年間で3度目となる値上げを発表。約8割の商品の価格を10~150円引き上げた。価格戦略の専門家である筆者は、対象商品の多さと値上げ幅の大きさから、今回の値上げは単なる「原材料高・円安対策」にとどまらない印象を受けた。もちろんマクドナルドは本音を明かしていないので、独自の調査を通じてマクドナルドの意図を読み解いていこう。

原価高騰に頭を抱え、商品の値上げを繰り返すメーカーは枚挙にいとまがない。消費者の日常生活に大きな影響を及ぼす値上げだが、中でも消費者に告知しないまま価格を据え置いて内容量を減らす「ステルス値上げ」は近年急増し、不誠実な手法としてネット上で度々炎上している。しかし、実は「ステルス値上げ」の定義を誤解している人は意外にも多く、内容量を変える手法が全て悪質というわけではない。その正しい解釈と、ユーザーの消費体験向上と値上げを両立する新しいアプローチについて、価格戦略の専門家の視点で解説する。

Appleが今年6月、日本でも「Apple Music」の月額利用料を値上げすると発表した。対象は「学生プラン」のみ。値上げ幅は100円(480円→580円)である。既存ユーザーには8月下旬から新料金が適用されたが、この値上げは一見すると不可解だ。何しろ、お金に余裕がある社会人ではなく学生が対象で、値上げ幅がたった100円なのだ。だが、価格戦略の専門家の視点では、この値上げは「秀逸」であり、収益向上において効果的である。そう言い切れる要因を詳しく解説する。

大手回転ずしチェーンのスシローが、原材料価格の高騰を背景に今年10月から商品価格を値上げすると発表した。この値上げ発表を消費者はどう受け止めたのか。プライシングスタジオの調査によると、値上げ発表後には「購入意向率」が大きく下がっていることが分かった。その理由とは。価格戦略の専門家が解説する。

東京ディズニーリゾートは近年、立て続けに入園料を値上げしている。さらに今年5月からは新たな有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を開始。その大胆な価格戦略が注目を集めている。東京ディズニーリゾートの価格戦略の狙いはどんなところにあるのか。価格設定の専門家が徹底解説する。

スポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」が月額料金を従来の価格から約1000円値上げし、3000円とすることを発表した。これにはユーザーから「高すぎる」といった反発の声も相次いだが、分析してみるとこの価格設定は極めて「理にかなっている」ことが分かる。これまで数十のサブスクリプションサービスの価格改定に携わってきたプライシングスタジオ代表取締役の高橋嘉尋氏が、DAZNの価格改定のカラクリを解説する。
