2013年1月16日午後に開催された社会保障審議会・生活保護基準部会を踏まえ、厚生労働大臣は、2013年以後の生活保護基準について「全体として引き下げる」という方針を表明した。これを受け、当事者たちはいま、どのような思いでいるだろうか? そして、支援者たちは、どのように異議を申し立てているだろうか? 困窮者に対する総合的な支援を目指す「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の議論は、今、どうなっているだろうか?

「引き下げ」の影響は困窮者以外にも
異議を申し立てる当事者・支援者たち

 2013年1月16日午後、田村憲久厚生労働大臣は、2013年以後の生活保護基準に関して「全体として引き下げる」という方針を表明した。同日、「第12回社会保障審議会生活保護基準部会(以下、基準部会)」が開催されており、厚労相が表明した方針は、この基準部会での議論や報告書案に基づいている。

 基準部会の議論については、次回、18日に開催される第13回基準部会とともに、検討してレポートしたい。

 生活保護当事者・支援者・法律家など幅広い立場の人々で構成される「生活保護問題対策会議」は、「生活保護基準引き下げ」という厚労相方針に対して緊急声明を発表し(http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-95.html)、第12回基準部会の直後、厚生労働省内で緊急記者会見を行った。

緊急記者会見で発言する宇都宮健児氏

 会見で最初に発言したのは、弁護士の宇都宮健児氏である。宇都宮氏は最初に、日本の捕捉率(貧困状態にある人のうち公的扶助を利用している人の比率)が欧米諸国と比較して極めて低い水準にあることと、昨年来、孤立死・餓死が多発していることを指摘した。さらに、「むしろ生活保護の利用を促進するべきなのに、生活保護基準の切り下げや利用の抑制が行われれば、今後、孤立死等が多発するのではないか」という懸念を示した。

 生活保護という制度は、生活保護を利用している現在の当事者にだけ関係がある制度ではない。生活保護基準は、国民生活のさまざまな制度と連動している。生活保護基準を引き下げるということは、国民生活の全体を引き下げるということに他ならない。

 生活保護基準が引き下げられれば、おそらく、連動する形で最低賃金も引き下げられる。あるいは、最低賃金が実質的に無意味になるかもしれない。並行して、「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」では、「中間的就労」が議論されているからだ。就労困難な困窮者のために、低賃金ながら就労の道を開こうという趣旨である。特別部会での議論に関しては、本記事の後半で紹介する。